高校3年になり、勉強と部活で忙しい茉莉奈は小さな恋をしていた。
「あっ…、おはようございます。」
「おはよう。」
階段を上りながら爽やかに挨拶を交わすのは高校教師で数学を教えている田中先生だ。
彼が小さな恋の相手だ。
大好きだけど叶うはずのない恋。
でも、それでも良かった。
見かけただけでも、挨拶をするだけでも、田中先生に会えるだけで幸せになれた。
だけど、最初から好きだったわけではない。