「行ってきます。」
そう言って家を出た。
私の声に反応する人は誰もいない。

私は西町中に通っている中学2年生の西谷海樹。
姉と兄が1人ずついて、どちらの名前にも「海」がついている。
私の家は複雑だ。
父は離婚していないし、母が女手一つでいままで育ててくれた。

学校は凄く近くて徒歩3分。
だから別に早起きなんてしなくても遅刻なんてしない。
したことがない。

あっという間に学校につき、
ドアの前に立つ。
前を向き、深呼吸をして笑顔を作った。
よし今日も頑張ろう。と意気込んでドアを開けた。
ガラガラガラガラ
「みんなおはよう。」
そう言うとみんなの目が一斉にこっちに集中する。
「おはよう海樹。あいかわらず今日も来るのが遅いね!」
ヘラヘラした笑顔で応えたこの子は佐竹愛紗。
サバサバしているけれどしっかり者で頼りになるしなにより一番性格が合って仲がいい。
「おはよう。空気!!」
私のことを空気と呼んでくるのは橘由宇。
そう呼ぶ理由は海樹と空気って似てるよね?はいじゃあ空気ね!ってことらしい。
自分では結構失礼なあだ名だと思っているけれど、それでもあだ名がつくだけうれしいと割り切って呼ばれることにした。
由宇は今までは私たちのグループには居なくて、大きなグループから追い出されて入ってきた。
今も大きなグループは健在で由宇は目の敵にされている。
「来たんだ!遅刻かと思った。寂しかった。」
と朝から可愛いことを言ってるこの子は西野真輝。
私の事をみみと呼ぶ。
海樹っていう名前の海が変化してみみになった。

普段はこの四人で行動しているけれど昔は由宇がいなくて、
おてんばだけど引っ込み思案な高橋夏菜とちっちゃくてみんなのことを名字+さん付けで呼ぶ葛西輝希が一緒だった。
いつの間にか二人とも離れていって、今では夏菜と輝希がいつも一緒にいる。
このメンバーで落ち着いたのもつい最近で、一緒にいる人はちょくちょく変わる。
だけど私はやっぱり愛紗といる時間が一番長い。愛紗もそうだと思う。
私の通う西町中は田舎の学校だからクラスは一クラスしかない。
だから、小学校·中学校が同じ人がほとんどで、愛紗とも同じ小学校だったけどあんまり仲良くなかった。
仲良くなったのは中学校に入ってからしばらくしてからだった。

キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り着席する。
私の中学校はこの町でも頭が悪いと言われていて馬鹿にされている。
少し遠くにある優中。正式名称、優翔中学校はそこそこ頭がいいと言われていて私たちの中学校をいつも馬鹿にしている。
だけど私たちのクラスには頭のいい超進学校、作興高校に行けるほどの知能を持った男の子がいるし、私自体もそこまで頭は悪くない。
そんな馬鹿にされている西町中は生徒の成績をあげるために色んな政策をとっている。
たとえば、朝読書をしたり、生活記録手帳という日々の日記をつけたり、学校の階段や壁の至るところに勉強に関することか掲示されていたりする。
昔はすごく荒れていた西町中も最近は落ち着いてきていいねと言われるようにもなった。
西町中の生徒はみんな頑張っているね。と近所の人から褒められることも増えてきた。
それはすごく私も嬉しい。