「それ以上触らないで!触らないで!」

その瞬間、國比呂はトイレに猛ダッシュ!

「おぅえぇええ!ぅぇえぇうぇええええ!」

嘔吐の声が聞こえてきた。

佳奈美がトイレに行って國比呂の背中を擦ってやってるようだった。

落ち着いた國比呂が戻ってきた。

彼は携帯を取り出し電話をかけ始めた。

「父さん…コトリバコ…コトリバコ友達が持ってきた…僕怖いよ。じいちゃんと違って僕じゃ、じいちゃんみたくできないよ…」

國比呂は泣いていた。

父親に電話かけて泣いている。

それほど恐ろしい事なんだろう。

降って湧いた非常事態に俺も泣きそうだった。

「うん、憑いてない、箱だけしか見えない…跡はあるけど残ってないかもしれない…うん、少し入ってる…友達のお腹のとこ…シッポウの形だと思う…シッポウだろ?中に三角ある。シッポウ…間違いないと思う、だって分からないよ!僕は違うから!」

何やら専門用語色々出てたけど、繰り返していってたのはコトリバコ、シッポウ。

もっと色々言ってたけど忘れてしまった。

「分かった、やる。やる。ミスったら祓ってよ、父さん頼むからね」

國比呂はここで電話を切った。

最後に國比呂は2分ほど思いっきり大泣きして、しゃくり上げながら。

「よし」

と正座になり、自分の膝の辺りをパシッと叩いた。

もう泣いてなかった。

何か決意したようで。