因みに。

ひでおじさんを拾った人は、本当の捨て子だと思って、曾祖父と曾祖母が『丑年の次男なんで返して下さい』って取りに行ったら、『うちは子供が欲しかったから返したくない。男の子が駄目なら女の子をくれ』って言われて。

ばあちゃんの妹が養子に行ったらしい。

後で調べたら、柳田国男の遠野物語拾遺に似たような話がある。

年回りの悪い子は一度捨て子にして他人に拾ってもらい、改めて貰い子にする。

それと同様に東北地方で『取子』という風習があった。

寺社の門前に子を捨てて坊さんに拾ってもらい、それを貰い子にする。

こちらは年回りではなく、子が健康に育つようにという話らしいけど。

今もその手のはあるらしい。

とつきとおば(十月十歯)っていって、赤ちゃんが生後十ヶ月で初めて歯が生えると『とおば=卒塔婆』を連想させるから縁起が悪いってんで、近くの『辻』に捨て子する。

近所の人にあらかじめ頼んでおいて、捨てた(というか置いた)瞬間に、その人に拾ってもらうんだそうだ。