男は仏間に入るなり、『線香を消してくれませんか』と妙な事を言う。

『失礼な奴』とも思ったが、まあせっかく来てくれたのだからとも思い、言う通りにする事にした。

次に男は、『私と仏様を2人きりにして下さい』と言う。

これまた失礼な頼みだが、香典もしまい金目の物や火の気も無いので男の思い通りにさせてやったそうだ。

襖を締め切って隣の座敷から様子を窺うが、読経などする気配も無い。

これはいよいよ怪しいと感じ、仏様を傷つけられたら大変と、そっと覗き見たそうだ。