そろそろ愛車のガソリンがない。

そう思って私は、近所のガソリンスタンドに入った。

「いらっしゃいませー」

元気よく走って運転席側にくる男の子。

「あれ?」

私はその顔に覚えがあった。

「君、いつぞや私を助けてくれた…」

「ああ、泉の広場の時の…」

茶の短髪、丸い眼鏡をかけた男の子。

この子のお陰で、私はあの『人間ではないもの』から逃げおおせる事が出来た。

「ここで、アルバイトしてるの?」

「はい。占いのバイトだけじゃ大したお小遣いにならないんで」

そう言った男の子は、前に助けてくれた凛々しさとは違う、歳相応の少年らしい笑みを浮かべた。