この関係にピリオドを

こんなにも思われていたことを気づきもしなかった。竜樹はいつも言葉で伝えてくれたのに、それに耳を傾けなかったあたしは最低な彼女だ。

それでも、やっぱり別れたくなんてない。


「いっちゃん、俺ね、東京に行くことになった。だから、いっちゃん俺たち、この関係にピリオドを打とう」


「・・・あたしのこと、捨てるの?」


嫌な言葉をあえて使った。優しい竜樹ならきっとこの言葉で思いとどまってくれる。だけど、逆だった。優しい彼は、あえてその言葉をうまいように使ってあたしを絆す。


「うん。俺がいっちゃんを捨てる。これからいっちゃんよりもっと素敵な彼女を作るよ。だからいっちゃんも俺よりも幸せになって」


「・・・バカ。言われなくてもなるわよ。幸せになってやるわよ。あんたなんかより幸せになってやるんだから」


「・・・いっちゃんのことが大好きだよ。だから、バイバイ」


満天の星空の下、二人抱き合って泣いた。あたしは竜樹に甘えすぎた。だから捨てられて当然なんだ。会いに来てくれる彼をないがしろにし、自分のことばかり。


そんなあたしでも、他の人が目に入らないくらい惚れてるって言ってくれた。それがどれだけ愛されていたか。あたしは本当に気がつくのが遅かった。


ねえ、竜樹。こんなあたしでも全部愛してくれて惚れてくれてありがとう。


あたし、竜樹に愛された自分に誇りをもってこれから頑張っていくよ。ありがと。


「ごめんね。竜樹。最後まで言えなくて。でも、あたしも竜樹のことがちゃんと好きだった。竜樹、バイバイ」