この関係にピリオドを

そんなあたしを、竜樹はニッコリ笑って抱きしめてくれた。


「ずっと悩んでたの?そんなの気にならないよ。だって俺はいっちゃんが好きなんだから。だからそのままのいっちゃんでいてよ」


あたしと竜樹が知り合ったのは、バイト先。あたしが大学三年、竜樹が大学一年のときだった。同じ大学だったけれども全く繋がりのなかったあたしたち。

だけど、バイトを通じて仲良くなった。


冷蔵庫から、麦茶を取り出し、そのままラッパ飲み。コップに入れることも面倒くさい。もうすぐ、八月。蒸し蒸しとする暑さに冷たい麦茶が喉を潤してくれる。



「・・・もうすぐ、花火大会か」



八月の第一土曜日、この辺では大きな花火大会がある。普段は、活気のあまりないこの街も、その日になると、どこからともなく人が集まってくる。


付き合って一年目には、浴衣を着て二人で行った。慣れない下駄に案の定、あたしは靴擦れを起こしたけれど、そんなあたしを終始、心配してくれてた竜樹。


今はそんなことも全部、思い出の一部分と化していた。


数日後、竜樹から花火大会に行こうと誘われた。散々、迷ったけれどそれを最後に竜樹には話そうと行くことに決めた。


これで、最後。そう決めると情なのか、寂しさなのか分からないけれど、普段は考えもしなかったのに、


花火大会は浴衣を着ようかななんて思ったり、通勤の行き帰りで通る二人で行った店の前でふと、思い出を思い返した。