駅を出たのと同時に聞こえたのは、セミの鳴き声だった。

もう夏なんだな。

元気よく鳴いているセミの声に私は思った。

7日間と言う期限付きの命なのに、本当によく鳴くな。

私なんて、後何年生きればいいんだろうって思っているのに。

ふと視線を向けると、ショーウィンドウに映っている私と目があった。

そこに映っている自分は、何とも言えない情けない顔をしていた。

家族もいなければ、結婚の予定もない。

それ以前に、結婚を前提につきあっている恋人すらもいない。

私の人生は一体どうなってしまうのだろうか?

もしかしたら、1人で生涯を終えることになってしまうのだろうか?

「――私は後何回、同じ理由で振られ続けないといけないのかな…?」

ショーウィンドウの自分に向かって呟いても、答えてくれる訳がない。