じれったい

――悪い子ではないんだけどね

高校時代に好きになった隣のクラスの大野くんにも、同じ理由で振られてしまった。

――矢萩は悪い子じゃないから、俺よりもいい男が現れると思うんだ

友達からでもいいと言った私に、大野くんはそう言って断った。

――矢萩は悪い子じゃないって思ってるよ

大学時代に好きになった人は、同じ学部に通っている北見先輩だった。

――正直なことを言うと、矢萩のことはそんな風に思えないんだ

好きな人にそう言われたことよりも、また同じ理由で振られたことがショックだった。

悪い子じゃないって、どう言うこと?

私は女としても見られていなければ、いい子としても見られていないの?

ガタンゴトンと揺れる電車内で、私は昔の出来事を振り返っていた。

「――まだ明るいな…」

腕時計に視線を向けると、2時を過ぎたところだった。

明るいのは当たり前か。