じれったい

母が多額の遺産を残していたため、わたしは1人で苦労することがなかった。

そのうえ母が生命保険に入っていたことや事故を起こした相手の会社から多額の慰謝料をもらったため、わたしは高校、大学と無事に進学することができたし、住んでいた家を売らなくて済んだ。

「――今度は秋のお彼岸になったらくるね」

母のお墓に向かって声をかけた後、私はその場から立ち去った。

お寺の近くにあるラーメン屋に入ると、冷やし中華を頼んだ。

それを待っている間、私はテレビに視線を向けた。

テレビでは、“最近のウエディング事情”と題した結婚特集が放送されていた。

「――結婚か…」

30歳になるまでに結婚して、母を安心させるためにその人と一緒にお墓参りに行きたいな。

そう思ったけれど、今までのことを考えたら何も行動に移すことができない自分がいた。

――悪い子ではないんだけどね

私は、今まで恋をした相手にどう思われていたのだろうか?

「お待たせしました、冷やし中華です」

店主がテーブルのうえに先ほど頼んだ冷やし中華を置いた。