じれったい

母の遺影の前で醜い争いをしている彼らに、私は自分の心が冷えて行くのを感じた。

あなたたちが心配しているのは、私の今後じゃない。

世間体だ。

矢萩亜子のたった1人の娘である私を施設へ預けたら、世間から後ろ指を指されるんじゃないかと心配しているのだ。

葬儀の手配だって、連絡だって私が全部1人でやったんだよ?

突然の母の死に悲しむ暇もなくて、眠い目をこすりながら1人で準備をしたんだよ?

なのに、私に優しい言葉もかけてくれないの…?

そう思ったらだんだんと怒りが込みあげてきて、
「――帰ってください!」

私は彼らに向かって叫んでいた。

突然叫んだ私に、彼らは驚いたと言うように視線を向けてきた。

「り、莉亜ちゃん…その、あの…」

母の弟は戸惑っている。

その周りにいる彼らも困った顔をして私を見つめていた。