じれったい

えっ、何?

そう思っていたら、玉置常務の手が私の額に触れた。

額にさわっているその手は華奢だけど、大きな手だった。

「んーっ、少し熱っぽいかな…」

玉置常務はそう呟くと、手を離した。

えっと…熱があるかどうかと、確かめていただけですか?

「疲れてるようならあまり無理をしない方がいいと思います。

今日は早めに寝てください」

そう言った玉置常務に、
「はい、わかりました…」

私は首を縦に振ってうなずいた。

期待をしてしまった…なんて、言える訳がないと思った。

キスされるかも知れないと思っていた私は、バカだと思った。

ただの秘書である私に、玉置常務がそんなことをする訳ないじゃない。

そう言って自分に言い聞かせると、玉置常務と一緒に車を降りた。