じれったい

搬送された病院に到着すると、私たちはお兄さんがいると言う集中治療室へと向かった。

かなり重傷だったらしく、事故から数日経った今でも目を覚ましていないのだそうだ。

「こちらです」

看護師に案内されるように到着すると、カーテンが開かれた。

「――ッ…」

あまりにも痛々しい光景に、私は声を出すことができなかった。

玉置常務のお兄さんはベッドのうえで横になっていて、何本かの管で躰が繋がれていた。

頭に巻かれた包帯からは血がにじんでいる。

規則正しく動いている心電図は、彼がまだ生きていると言うことを教えてくれた。

「――兄さん…」

痛々しい彼の様子に、玉置常務が呟くように名前を呼んだ。

「ごゆっくりどうぞ」

看護師は会釈をするように頭を下げた後、私たちの前から立ち去った。