じれったい

だけど、玉置常務が過去と向きあって絶ち切ることができたら今度こそ言うつもりだ。

“あなたが好きです”と、ちゃんと伝えるつもりだ。

また“悪い子じゃないんだけどね”と言って振られてしまっても、ちゃんと前を向いて歩いて行く。

もう玉置常務と出会う前の私には戻らない。

母親に依存して、自分の気持ちを押しつけようとしたあの頃にはもう戻らない。

「いつまでもボヤボヤしていたら、他の女の子に取られちゃうわよ?」

そう言った武沢さんに、
「取られたとしても、ちゃんと受け入れますから」

私は宣言した。

「おーっ、言うね。

まあ、最後まで頑張りなさい」

武沢さんは笑いながら言い返した後、自分のデスクへと戻って行った。