じれったい

何より、今は解決しなければいけない問題が目の前にある。

「それでなんですが…明日はお兄さんのお見舞いに玉置常務と一緒に行きますので、会社をお休みします」

私は言った。

「一緒にって…」

訳がわからないと言う顔で呟いた武沢さんに、
「私は玉置常務の秘書ですから。

お見舞いに同行するのは、秘書としての仕事です」

私は言った。

宣言するように言った私に、武沢さんはフッと吹き出した。

「矢萩さん、最初の頃よりもずいぶんとたくましくなったんじゃないかしら?

秘書と言うよりも奥さんって言う感じがするわ」

「た、たくましくですか?」

そう聞き返した私に、
「ええ、たくましくよ。

最初の頃は頼りない感じの印象が強かったから、この子で秘書が務まるかしらって不安だったの」

武沢さんが言った。