「ねえ、女将さんって雅志ちゃんに過保護じゃない?」

母と兄の話題に僕は足を止めた。

「そうね、いくら長男で跡継ぎだからってねえ」

「この間雅志ちゃんが体育の授業で転んでケガをしただけなのに、女将さんったらわざわざ学校に行って抗議をしてきたのよ。

息子を体育の授業に参加させるなって」

「えーっ、本当?」

「それに対して和歳ちゃんはかわいそうよね。

ほったからしにされているんだもの」

「もしかしてとは思うけど…和歳ちゃんは、橋の下で拾われた子なんじゃない?」

その言葉に、僕は耳を疑った。

「ちょっと、ジョーダンでも言うものじゃないわよ!」

「そうよ、本人が聞いてたらどうするのよ!」

そして、今の状況である。