――あんたなんかいなければよかったんだ!

お兄さんに向かって怒鳴った玉置常務の顔と悲しそうな顔で彼のことを見つめていたお兄さんの顔が頭から離れなかった。

気まずい空気の中で迎えた翌日は、気まずいままだった。

テレビを見ながらコーヒーを飲んでいる玉置常務を見ながら、私はキッチンで目玉焼きを作っていた。

とてもじゃないけれど、玉置常務に話しかけれる気分じゃなかった。

「次のニュースです」

私たちの沈黙を埋めるように、テレビの中のアナウンサーが言った。

「今朝未明、Y県の国道を走っていた高速バスが転落事故を起こしました。

乗員・乗客25人中4人が死亡、生存者も全員が重軽傷を負っています」

その時、テレビの画面にテロップが表示された。