先に行動を起こしたのは、お兄さんの方からだった。

お兄さんはむくりと倒れていた躰を起こすと、地面から立ちあがった。

放心したような顔で私たちを見た後、お兄さんは静かにその場から立ち去った。

その瞬間、ガクンと玉置常務は膝から崩れ落ちた。

「――た、玉置常務…」

私はようやく地面から腰をあげると、玉置常務へと駆け寄った。

ゼーハーゼーハーと、玉置常務から激しい呼吸の音が聞こえる。

お兄さんに向かって怒鳴ったから、疲れたのだろうか?

「玉置常務、家に入りましょう…」

そう言った私の言葉に、玉置常務は首を縦に振ってうなずいた。

玉置常務の腕を自分の肩にかけると、彼と一緒に家の中へと足を向かわせた。