「た、玉置常務!」

私はお兄さんと玉置常務の間に入って、胸倉をつかんでいる玉置常務の手をつかんだ。

「今さら何だって言うんだよ!

あんたに異常なくらいの愛情を注いでいたあの女に会えって、今さら何だよ!

あの女に会って顔を見せろって、ふざけてんのかよ!

バカにしてんのかよ!」

「玉置常務、やめてください!」

私の悲鳴のような声は怒り心頭の玉置常務の耳に入っていない。

「あの女だけじゃない!

美知留の時もそうだった!

あんたはあの女の愛情だけじゃなく、美知留までも奪った!

僕の気持ちは知っていたはずだ!

なのにあんたは愛情だけじゃ物足りず、僕から美知留を奪ったんだ!」

「玉置常務、やめ…きゃっ!」

彼に突き飛ばされるように、私は地面に尻もちをついた。