「和歳、何で無視をするんだ?

ケータイに電話したら番号が変えられていたうえに、前に住んでいたところを訪ねたら引っ越した後だった。

興信所に頼んで今住んでいる住所を調べてもらって手紙を出したのに、何で返事をくれないんだ!?」

彼は早口でまくし立てるように玉置常務に問いつめた。

えっ、手紙?

それは今、私の手元にある手紙のことを指差しているのだろうか?

この人、もしかして…。

「――玉置常務のお兄さんですか…?」

封筒の名前には、玉置雅志とそう書かれていた。

呟くように聞いた私に、
「そうだけど、君は…?」

彼――お兄さんが不思議そうな顔で私を見つめてきたけれど、すぐに何かを思い出したと言う顔をした。

「君は昨日ぶつかってきた子じゃないか!」

大きな声で言って私を指差したお兄さんに、
「えっ…」

私は戸惑うことしかできなかった。