玉置常務の優しくて、温かな眼差しと目があった。

ああ、こんな顔で私を見て、私の話に耳を傾けていたんだ。

「私はどこかで、相手に愛情を求めていたのかも知れません。

私に愛情を注いでくれた母と同じくらい、あるいはそれ以上に愛情を注いでくれる人を探していたんだと思います。

だから相手はそれに気づいて、“悪い子じゃないから”って言って私を振ったんでしょうね」

そう言った私に、
「確かに君は悪い子ではありません。

いい子だと思ったから、僕は君にキスをしたんです」

玉置常務が言った。

「えっ…」

やっとキスされた理由がわかったけれど、その理由に戸惑うことしかできなかった。