「恥ずかしながら私は今年で２６歳になるんですけども、この年齢になるまで男性と１度もおつきあいをしたことがないんです」

呟くようにそう言った後、私は雨で濡れた地面に視線を落とした。

コンクリートの地面から湿っぽい匂いがした。

「好きになった人はいます。

でも、彼らからいつも同じ理由で振られていたんです。

“悪い子ではないんだけど”と言うのが、失恋の理由です」

玉置常務は、どんな顔で私の話に耳を傾けているのだろうか？

「その理由がいつもわからなかったんです。

私は女として相手にも思われていなければ、いい子としても相手に見られていないのか…と、失恋するたびにいつも思っていたんです。

でも玉置常務に全てをつきつけられて、ようやく失恋した本当の理由がわかりました」

そこで話を終えると、玉置常務に視線を向けた。