「えっと…」

いい子だと思ったのと同時に悪い子だと思ったって、それはどう言う意味なんだ?

玉置常務の言葉の意味がわからないうえに、彼の気持ちが見えてこない。

「どうして僕が君を悪い子だと思ったのか、わかりませんか?」

そう聞いてきた玉置常務に、
「わからないです…。

どうして私を悪い子だと思ったんですか?」

私は答えると、質問を返した。

玉置常務は私を見つめた。

私を見つめている彼の目が下三白眼だと言うことに、この時初めて気づいた。

その目を見つめていたら、
「――母親に依存しているからです」

玉置常務が言った。

それに対して、私は答えることができなかった。

私と玉置常務との間に沈黙が離れた。