玉置常務の手は大きかった。

男の人の手って、こんなにも大きいんだ…。

あっと言う間に包み込んだ玉置常務の手に、私の心臓がドキドキと鳴り出した。

「少し走りましょうか?」

「あっ、はい…」

玉置常務に手を引かれるまま、私は彼と一緒に走り出した。

まるで映画のワンシーンみたいだった。

走るのはあまり得意じゃないけれど、不思議と嫌ではなかった。

それよりも心臓がドキドキと鳴っていてうるさい。

このドキドキが玉置常務の手に伝わってしまったらどうしよう…。

そう思ったら、私は彼の手を握り返すことができなかった。

ううん、違う。

本当は怖いから手を握り返すことができないんだ。

玉置常務の気持ちを知るのが怖いから、何より玉置常務にどう見られているのかわからないから、握り返せないんだ。