「あ、えっと…」

「どうして隣で歩かないのですか?」

玉置常務が声をかけてきた。

「えっ、隣?」

それはどう言うことなのだろうか?

そう思っていたら、玉置常務が私のところへ歩み寄ってきた。

「えっ、玉置常務?」

彼が戻ってきたことに戸惑っている私に、
「隣で一緒に歩いてもいいでしょう。

何か問題がありますか?」

玉置常務が言った。

「でも私は秘書で…」

「言い訳は仕事が終わってから聞きます。

さあ、今は急ぎましょう」

私の話をさえぎるように、玉置常務は私と手を繋いだ。

「えっ、あの…!」

私、手を繋いでる…!?

男の人と手を繋ぐのは初めてのことなので、どうしたらいいのかわからなかった。