黒歴史と四人の王子様

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「恋ーーーーッ! れーーーーんッ!」



ああ……イケメンの声がする……。



この声は……。



「れぇええええんっ! っぐす、れ、れ゛ぇ゛ん゛」



……うるせえ……。



白馬は泣きながら寝ているあたしの周りに花を散らす。



なにやってんだろ。こいつ……。



「白馬……あたし、死んでないから」



「恋!? 良かった……もう少し寝てたらキスして起こすところでした……」



そんなメルヘンな起こし方されても……。



とにかく、起きてよかった。



「覚えてますか、恋。僕とコイのファーストキスもこんな感じだったんですよ。ほら、沼で溺れたコイを花畑に下ろして人工呼吸を」



「あー、もういいわ。黒歴史の話はしないで。それで、この夢はいつ覚めるの?」



「夢じゃないです!」



何言ってるんだろう……。



夢じゃなかったら浮くとか、ありえないし……。



「ここは?」



白いベッドの上にあたしは寝かされていた。



問題は、この部屋に白いベッドと扉以外に何も無いこと。



「保健室です」



どこがやねん。



「……保険医は? ほかのベッドは? 薬棚とか、そういうのは?」



「全部、恋が描写しなかったからありません」



描写? そうか。ここは小説の世界だから、作者である昔のあたしが描写したもの以外はないんだ。



ハッハー。よく出来た夢だわ。



「ふんふん。じゃあ、あんたが浮いてたのは?」



「恋、全然風景について描写しないから……



 登場人物がどこにいるかわからないんです。だからつまり、どこにいてもいいんです」



「なるほど」



「なるほどじゃありませんよ改善してください」