「──何か、面白いことでも?」
声が聞こえて、あたしはこんなところを誰かに見られたくなくて、ゴミ箱から靴を拾い上げた。
そして、振り返ると──そこにいたのは、白馬だった。
「……いやあ、あの、靴飛ばししてたら、ゴミ箱にすっぽり入って……」
なんとなく本当のことを言うのもバツが悪くて、思わずあたしは嘘をついてしまった。
「へぇ」
白馬は興味なさげに言った。
「──これ」
白馬が差し出したのは男性用の靴だった。
「……靴……?」
「ゴミ箱に入った靴で帰るのは、衛生的にどうかと思います。お貸ししますので、どうぞ。そちらの靴は……そうですね、こっちで洗っときます」
「……それくらい、自分で洗うよ。……ありがと」
白馬はこくりと頷いて、あたしにビニール袋を渡した。
あたしはそれを受け取って、靴をビニール袋の中に入れた。