──キーンコーンカーンコーン…
チャイムの音であたしは飛び起きた。
おきた場所は、保健室。
……なんだ、ただの夢だったんだ……。
「おはよう」
「……満先輩」
満先輩は、ベッドの端っこに座っていた。
「ほら、今は横になっときぃや。背中、痛いやろ?」
あたしは肩をゆっくりと、優しく押されて後ろに倒れる。
満先輩は、あたしに布団をかけた。
ほんとだ。
……背中、痛いなあ……。
「先輩……体育は……?」
「終わったぁ。つか今放課後なあ」
「え!? ウソ!?」
満先輩は、あたしに腕時計を見せた。
時計は6時を指していた。
体育が二時間目だから……うわあ、あたし、そんなに寝てたんだ……。
寝てたっていうか……気絶だけど。
「というか、なんで……満先輩がここに……?」
「部活こんから、心配したんよー。
……恋ちゃん、なにかあった?」
……。
由麻のあの感情は、あたしの『設定』のせいだ。
……だったら、由麻は悪くない。
あたしの自業自得だ。
「……いえ、ちょっと、転んで……」
「嘘つき」
満先輩は少し呆れたように笑った。
「……まあ、恋ちゃんが言いたくないならきかんとく。
じゃ、代わりに……恋ちゃん、好きな人の夢でも見てた?」
ギクッ。
「……な、なんで?」
「寝言で『奏、奏ぇ』、って。奏って間宮 奏やろ?」
「う……」
ギャー! 聞かれた!
よりによってこの人に!
一番いじってきそうなこの人に……!
「……ね、恋ちゃん。好きな人に会いたい? 帰りたい?」
満先輩が、あたしの目を見つめて言った。
いつになく真剣な表情だ。
……からかうつもりは、ないのかな?
