「あー、なるほど。キスか」
ガッテンがいった様子の不知くんがポツリとつぶやく。
はい。そうです。大当たり。
あたしはらぶKOIの、最後あたりの白馬のセリフを思い出す。
『待っててください……! 今から人工呼吸を……!』
……人工呼吸って、キスのこと、ですよネ……?
いやいやいやいや無理無理!
ファーストキスが自分の作った話の登場人物とか! 普通にやだから!
「……そ、そんなに嫌ですか僕とのキスは!
……いいじゃないですか。不知とはしたくせに……」
……うわあ、まだ解けてなかったの。その誤解。
不知くんは苦笑いしてる。
「ど、どうしても、しなきゃだめ? あの、上映ってやつ……」
キスシーンをかくだけでも恥ずかしいのに、それを自分で演じるとか、絶対に嫌だ……。
「だめです! ただの人の作り話が『物語』と成り立っている理由をご存知ですか?
僕らがそれを演じるからです! 僕らが演じて初めて、文字は物語へと変わります!
僕達がいなければ、小説なんてただの文字のカタマリなんですよ!」
白馬がズイーーッと顔を近づけてくる。
周りの女の子たちは「キャアアアアア!」と悲鳴を上げた。多分これは黄色くないやつ。
「そ、そうなの……?」
声を無視してあたしは不知くんに聞いた。白馬はゆっくりと頷く。
あんたには聞いてません!
「ねえ、不知くん……」
「……多分」
多分って……。
