──廊下にて



「具体的には、らぶKOIが山ぶどうでランキング一位をとるまで僕はあなたをかえしません♪」



白馬からアホみたいな宣告をされてから1時間がたった。



更新は未だに出来ていない。



あたしは廊下を歩いていた。



歩くと、あたまがすっきりするから。



(もーーー! こんなの無理に決まってるっての!!)



白馬いわく、更新したくなったら『僕に話しかけてください』とのことだ。



こんなの無理に決まってる。決まってる、けど……。



帰らないと、告白の返事を聞けない。



間宮くん……。



うふふ、間宮くん♡



あたしは、そうやって間宮くんのことを考えて現実逃避していた。



あたしは、考えすぎるといつも周りが見えなくなる。



そうやってぼやぼやしていると……



「ねえねえねえねえ、恋ちゃん恋ちゃん恋ちゃん、更新してくれるってほんま? なあなあなあなあ恋ちゃん恋ちゃん恋ちゃん」



気づけばあたしはメガネをかけた大きい人に廊下でほっぺを揉まれていた。



「てか恋ちゃん大きくなったなあ。文才上がった? 恋ちゃん文才クソやったもんなあ……あ、でも俺は好きやで?」



よく、変な人に絡まれる。



あたしは思い出す……関西弁、メガネ、高身長……。



「……確か、加藤 満(カトウ ミツ)先輩でしたっけ」



コイと同じ部活の先輩で、ずっとコイのことが好きだった人。



最終的にコイを押し倒してキスしようとするのだが、押し倒した先が沼で……



あ、ダメだ。この先は思い出したくない。



「おっ! あったりィ!」



満先輩はあたしに対してグーサインを突き出した。



あたしもビシッとグーサインを突き出す。



「ね、そんで、恋ちゃん、次どんな展開にすんの? 俺の出番ある?」



「……満先輩は、『白馬のライバル! 関西弁先輩男!』編で終わりですよ。



 1000ページも出番あげたでしょう」



「ああ、あの章な……もっと……ほかの名前なかったの……?」



……ほんと、なんであたしこんな名前にしたんだろう……。



「……でもよかった。王子、ずっと恋ちゃんのこと待ってたから。



 ……恋ちゃんを待ってる時の王子ったら、もう……」



……。



ほんとに、あいつ、待っててくれたんだ。



……ちょっと悪いこと、したかもしれない。



「…………ぷっ、くく、はは、ひひひひ! め、めっちゃウケたわぁ……! っふふ……」



……。



そういえば満先輩って、『いい人そうだけど、実は腹黒で性格が悪い』って設定だっけ。