月と太陽Ⅰ

『望。』

「美月様……どうかなされましたか?」

『国境沿いに陽元国の民は、誰1人近づかなかった。』

「そうですか……ということは、やはり、月凜国の民の仕業ですね。」

『気づいていたの?』

「なんとなく、ですが。それより美月様、1つ気にかかる事があるのですが……。」

『ん?』

「先程の美月様のお言葉は、まるで御自身で見てきたような感じがしたのですが……違いますよね?」


あっ……誰1人近づかなかった……って、言っちゃった……。
どうしよ……。

暑くもないのに、汗が出てくる……
これが、冷や汗…………って、そんな事考えてる場合じゃない!