「━━卒業生代表、舘野 由茉。」

舘野が答辞を読み終わり、パチパチパチ……と拍手の音で目を開ける。

俺も後に続いて手を叩いた。

演説台から下りて来る時、舘野と目が合った。

ニコッと笑ってやると、気恥ずかしそうに目を逸らされた。

可愛いなぁ。

思わず顔がにやける。

ハッと割れに返り、頭を振った。

いかんいかん。

卒業式はまだ終わっていない。

俺は、ピッ!と姿勢を正し、校長先生の話を聞き始めた。