「卒業生代表、舘野 由茉!」

「はい!」

名前を呼ばれ、舘野が登壇する。

スゥ……と前を見据えた舘野は、あの時と同じ、凛とした立ち姿で、胸が熱くなった。

「今日、私達は……」

答辞を読む声が、マイク越しに体育館に広がり、俺は目を閉じる。

始めて舘野と出逢ったあの日。

目を閉じると、今でも鮮明に脳裏に映し出される。