「じゃあ、キスしてくれたら許してあげます」

「……は?」

キス?

舘野の言葉を反芻して、顔が熱くなる。

「舘野さん?今の話、聞いてました?もし見られてバレたら、大変な事になるんですよ?」

「はい。分かってます。でも、私達には二人きりになれる空間があるじゃないですか。そこなら良いでしょ?」

舘野が、ニコニコ笑いながら視聴覚室の方を指差す。

コイツ、本当に分かっているんだろうか。

俺は溜め息を吐きながら、『どうなっても知らないぞ』と耳打ちした。