私は咄嗟に顔を下に向ける。

そのとき、亜依の目が一瞬でキラキラと輝くのが見えた。


「あっ、今朝の…おつかれさまです」

わっ…ほんと最悪…、なんで話しかけてくるの。


「どっ、どうも~」

私は営業スマイルでなんとか乗り切ろうとする。

…とはいえ、営業の仕事はしたことがないからうまく出来ているかは分からないけど。



「ラウンジの床、綺麗にしときましたから」

「そう、ありがとう」

「これからお昼ですか?」

「えぇ」

「ご一緒しても良いですか?」

「は?なに、急に―」

「もっ、もちろん!!」

私の返事に割って入ってのは、イケメン好きの亜依。


わー、これは、、目がハートになっちゃってるよ…


「あっ、お友達?」

「はい、沙奈の同期の喜多見(きたみ)亜依って言います!」


「よろしくね。じゃぁ、すぐに着替えてくるので、ロビーで待っていてください」


亮汰はニッコリと笑うと、地上に降り立ったエレベーターからサッと降りていってしまった。