エレベーターに乗ると、亜依が再び私の元にやってきた。


「ちょっと沙奈、帰りがけなんか言われてたの~?」

「えっ…なんでもないよ?」

「そう、顔真っ赤だよ??もしかして、、くどか…」

「っ///違う違う!!そんなんじゃないって!!」

「…そうだよね、沙奈、彼氏いるもんね」

「そう…だよ」


あんなチャラい奴、なるべく関わらないほうが良いよね。

私は赤くなる頬を抑えようと冷静さを保ちながら、エレベーターで52階へ向かった。



私は自分のデスクに座ると、断り切れずに亜依と一緒に交換してしまった亮汰の連絡先をぼんやりと眺める。


『いつでもおいで』

今でも耳に残る亮汰の声が、くすぐったく感じて、心臓がすごくドキドキしてるのが分かる。

やだ…早く忘れよ。



午後の始業を告げるチャイムが鳴るまで目を瞑って何も考えないように努めた。