三十分近く歩いていただろうか。
視線をあげるとそこには言われたように小高い一軒家が見えてきた。

見た目はまるで都市層にあるような少し洋風混じりの家で、周りの和風建てとは大きく違っていて少し浮いて見えるかもしれない。

緊張混じり、建物を見上げていた視線をまっすぐへと目を向けてインターホンに手を伸ばす。

少し硬いようなその外壁に触れて、いざボタンへと手を伸ばすと緊張しているのかなかなかあと1歩というところで押すのに躊躇する。

アポ無しの取材は些か慣れていない、というか真面目な性格をしているからいつもアポはきちんとしていた。

だからこういう直撃取材みたいなのは少し抵抗があるのだ。
……なんてただの言い訳だろうけど。

「……よし」

今度こそは、そう言い聞かせインターホンへと再び手を伸ばした。