「はい、是非どうぞ」

「あ、ありがとうございます」

まさかこんな簡単に話が通るとは思っていなく、焦燥が入り混じり少し高くなった声を隠しながら玄関へとお邪魔した。

玄関に入ると涼しい風が頬に触れて気持ちが良い。

それと同じように可愛い置物が玄関の棚の至るところに飾られていてとても内装が可愛いということもあって歩いていた疲れも癒されそうだった。

建物の中の構造もやはり洋風そのもの、それに庭付きとなっているからよほど高い物件なのだろう。

なんて考えてはいけない。

流石に初対面でそこまで考えてはいけないだろう、と頭少し横に降って飛びかけていた思考を戻すと彼女に視線を移した。

「居間にとりあえずご案内しますね」

玄関を閉めて、綺麗に靴を揃えてから彼女は二つある扉をじっと見つめてから一つの扉を開けた。

俺も彼女に見習い。靴を並べ後に続く。

「こちらが居間…ですね、お父さん呼んできます」
「ありがとうございます、色々とすみません」
「気にしないで、ゆっくりソファーにでも座っててください」

居間に案内されるとたどたどしい足取りで彼女は居間から出ていく。
新居ということで構造に慣れてないのだろう。

案内されたソファーを拝借してメモ帳とポールペンを取り出してカメラを鞄になおすと案外早く、二つの足音が聞こえてきた。