「…まぁ、私も人のこと言えないわね…」


そう小さな声で呟いた白田さんは、やっぱりこの性格は何かの間違いなんじゃないかと思うほど弱々しくて、少し触れただけで壊れてしまいそうな気がした。


泣くことはしないけど、きっと酷く傷付いてる。


それなのに、必死に強がってる。


そんな感じ。


そんな様子がちょっといじらしくて、


“放ってはおけないな”


なんて。


生まれて初めて、人をそんな風に思ったんだ。



だからかな?


俺がそんな事を言ってしまったのは––––––




「さ。こんな所いても仕方ないし!私帰るわ」


そう言って、白田さんはピョンっと立ち上がる。


「えっ?帰るの?」


俺は間の抜けた声を出してしまった。


そんな俺に白田さんは眉をしかめると、


「何よ。悪い?仕方ないでしょ?さすがに一人で回る勇気はないわ」


そう言って、砂を払うように浴衣を叩いた。


…まぁ、そうだろうけど。


でも……


「浴衣」


「え?」


「せっかく浴衣、着たんじゃないの?」


「……」


黒崎に見せるために、そんな格好したんだろ?


「勿体ないよ。せっかく綺麗なのに」