扱い方を知らないその感情は、少し気を抜けばコントロール不能になってしまいそうで、少し怖い。


だけど、凄く心地いい。


きっと、もう少し大人になればこの感情がなんなのか、どう扱えばいいのか分かるようになるんだと思う。


そんな気がする。



俺は、白田さんの色白で小さな手を遠慮がちに取ると、彼女の顔を覗き込む。


そして、自分でも意地悪いと思う問いかけをする。



「二度目の恋、する気になった?」


「……っ」



耳も首も真っ赤に色付くその姿に、まだ俺の深い所に眠っている何かが身震いをする。


たじろぎそうになる彼女を逃さないように、握った手に少し力を込めた。


瞳は真っ直ぐ、彼女を捉えて離さない。



「私…まだ、あなたに恋をしていないわ」



「うん」



「これからも、するかは分からない」



「うん」



ゆっくりゆっくりと紡がれる彼女の言葉に、俺は耳を傾ける。



「…だけど昨日のお祭り、あなたと回って凄く楽しかった。

失恋して、あんなに苦しかったのに笑顔でいられたのよ」