…バレてたか。
目を細めながら、俺を真っ直ぐと見詰めてくる彼女に、無性に恥ずかしさが込み上げてきて、俺は彼女から顔を逸らした。
「松田君は、そういう人だものね」
違うよ白田さん。
俺は誰にだってそうなわけじゃない。
今まで女の子に泣かれるのなんて、鬱陶しいとさえ思っている人間だったんだよ。
だけど、白田さんの涙だけは、俺が拭ってあげたいと思うから。
一人で泣くんじゃなくて、俺の側で泣いて欲しいと思ってしまうから……
俺は、彼女を見ないように地面に視線を落とした。
彼女を見たら、また暴走してしまいそうだったから。
「ねぇ、松田君。私、泣けなかったのよ」
俯いた視線の先に、サンダルを履いた彼女の足が映る。
顔を上げれば、彼女は俺のすぐ前まで来ていて、ベンチに座る俺を見下ろしていた。
「黒崎君にフラれても、少しも泣いたり出来なかったわ。
あなたのせいよ」
「…え?」
きっと、今の俺は酷く素っ頓狂な顔をしているだろう。



