やっぱり一人で泣いたのかな?
とか、
ちゃんと昨日は寝られたのだろうか?
とか。
そんなことを考えている俺とは対照的に、彼女はどこか晴れた顔をしている。
「その時にね、私ちゃんと言ったの。黒崎君のことが、ずっと好きだったって」
彼女は、ベンチから軽やかに立ち上がると、真っ青な青空に向けて大きく伸びをする。
「もちろん、あっさりフラれちゃった!
まぁ、分かってた上で、それでも伝えておきたかったの」
「今度こそちゃんとフラれることが出来て、良かったわ」と彼女は穏やかな表情でそう言う。
強い子だな。
そんなことを思う。
俺は白田さんにフラれても尚、まだ諦めるなんて出来ないのに。
彼女みたいにスッキリとした顔が出来るまで、どのくらい時間がかかるのだろう?
ううん。
もしかしたら、そんな日はずっとやって来ないのかもしれない。
「私、黒崎君にフラれたのにちっとも悲しくなかったのよ。あなたは、私が夜な夜な泣いたりしてたんじゃないかとでも思ったかもしれないけど、そんなこと全くなかったわ」
「…俺、そんなこと言ったっけ?」
「見てれば分かるわ。あなたさっきから私の目が腫れてないか、気にしてばかりいるもの」



