俺はそもそも何で彼女を好きだと思ったんだろう?


俺だって失恋したばかりだったし、


最初は全然彼女をタイプだなんて思わなかったのに。



しいて言うならば、昨日の黒崎の背中を見詰める彼女の横顔。



提灯の灯に照らされて、


切なげに


儚げに


それでいて艶やかに映る彼女の横顔。


泣いてしまうのかと思えば、そうではなくて。


強く自分を保とうと努めていて。


そんな姿が凄くいじらしかった。


きっと、それが全ての始まり。




それから一緒に祭りを回れば、彼女の色んな姿が見えてきて、


妙に大人びているかと思えば、幼い子供のように頬を染めてはしゃいだり、


強がっていたかと思えば、顔を真っ赤にして涙を流す。


今だってほら、豪快に笑って見せたり、


イタズラに笑って見せたり…。




あー…そっか。


なんだ。


簡単なことだったんだ。




俺は、そんな彼女の全部を俺のにしたい。


この先も、俺の知らない彼女を見付けては、俺だけのものにしたいんだ。