「なっ…なにっ…」


「あははははは!ごっ…ごめん!だって松田くんっ…妹さんにメロメロでっ…キ、キャラが……ぶくくく」


カーッと顔に血が上っていくのが分かる。


兄バカだという自覚はあるが、ここまで笑われるなんて…!


だから、見られたくなかったんだよ!



「白田さん…笑いすぎ…」


「ふふふっ…ごめん!今落ち着くから」


白田さんは、人差し指で涙を拭うとふーっと息を整えた。


「そんなに怒らないでよ。バカにしてるんじゃないのよ?普段、王子様って呼ばれるほど大人びて余裕のある松田君に、あんな意外な一面があるなんて…驚いたの」


「白田さんは、驚くと笑うんだね」


そう皮肉交じりに言うと、


「…まぁ、そんなこともあるわ」


そう言って白田さんは肩をすくめてみせた。


一人拗ねる俺を見て、白田さんは目を細めて微笑む。


「妹さんを大事にしてるの、素敵だと思うけど?」



“素敵”…か。


白田さんにそう言われるのは、悪い気はしない。


というか、ちょっと…嬉しいかも。



「あーそうですか」


「あ!松田君テレてる!」


「ち、違うから!」