「ちょっ…!あなた!」
「ん。」
俺は、慌てて駆け寄ってくる彼女に、買ったばかりのりんご飴を突き出す。
「なっ…いらな…」
「食べたかったんでしょ?」
「だから、そういうわけじゃ…」
「じゃあ、俺が食べる。」
「あっ!」
俺がりんご飴にかぶりつこうとした瞬間、りんご飴を持った俺の手が、彼女に引き寄せられた。
ふ。
かかったな。
彼女は真っ赤になって、バツの悪そうな顔をしている。
りんご飴をガッチリつかんで、俺から守るようにしながら…。
「いらないんじゃなかったの?」
「せ、せっかくだから食べるわよっ!」
「ぶっ」
「!?」
とうとう笑いが堪えられなくなって吹き出す俺を、もうどっちがりんご飴かわからないくらい真っ赤になって、白田さんはついに怒り出してしまった。
「あはは!ごめんごめん!つい面白くて」
「…あなたって、思ってたよりずっと性格が悪いわ」
言葉とは裏腹に、りんご飴を大事そうに抱えながら白田さんは口を尖らせてズンズン先を行く。



