1時間ぐらい待った頃、1代の車が通った。 「あっ…」 その車は見覚えがあった。 「奏多くん…」 家族で仲良さそうだった。 嫌。奏多くんの家は仲が良いんだ。 私は、こんな惨めな自分を見られたくなくて、道路に向けられていた体を咄嗟に逆向きにして、バレないように体を小さくして隠した。 「…奏多く…ん」 小さく名前を呼ぶと、何故だか涙が溢れてきた。