「ココが痛いんだ…。」



そう言って伊織の小さな手を俺の胸にあてた。


「痛いの、痛いの、飛んでいけ…」


俺の胸をさすりながら、おまじないをかけた。
飛んで行く先を自分の胸にして…。


「そんな事したら、伊織の胸が痛くなるだろ…。バカだな…」



「だって、どこか…に飛ばしたら…違う人が…痛くなっちゃうでしょ…。私でいいんだよ…」




止まっていた涙が…また溢れてきた。