夏の澄んだ夜に、彼の透き通った声が私の壊れた心にすぅーっと入ってきた。 さっき全部トイレに吐き出した感情が戻って来た気がした…。 歌い終わった彼は、私を心配そうに覗き込む。 暗いとはいえ、至近距離で見られれば顔が腫れてしまっているのがバレてしまう。 そっと顔を逸らす。 「…伊織…」 「伊織…」 彼は優しく汚れた私の体を抱きしめた…。 「大丈夫…」 「大丈夫…だよ…。」 奏多くんも私の異変に気づいたのか、大丈夫っと繰り返しながら、きつく抱き締めて離さなかった。