あれから数週間たったある日。


…ガラッ…



軽音部の部室のドアが控えめに開いた。



「…っっ!!!」



「!!伊織っ!!」


俺は久しぶりに来た伊織に驚いて、大きな声で伊織の名前を呼んでいた。
その声に他のメンバーもドアの方を見た。



「「「伊織ちゃん!」」」


みんなが伊織を囲み、久しぶりに会えた喜びを各自伝えていた。


俺はというと、放心状態でボーッと伊織を見ていた。


…伊織だ…。

…伊織がいる。

…伊織っ!



放心状態から覚醒した俺は、メンバーを退かして伊織を腕の中にぎゅっーと包みこむ。


「伊織…伊織…伊織…」




伊織は俺の行動に驚きなからも背中に手を回し、子供にするかの様にトントンっと規則正しいリズムで俺を落ち着かせる。